サイト名変更のいきさつ
あるいは
人に優しいネット社会をめざして
あるいは
企業と顧客の良好な関係をめざして

当サイトは2004年5月23日をもちまして、 名称を「旅はトラブル・とら○ーゆ」から「旅はとらぶる・トラバーユ」に変更いたしました。 その経緯を、私の感想を交えながらご紹介します。 どうぞ他山の石とされますように。

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2004年4月末、もうすぐGWというルンルン気分に 水をぶっかけるようなメールが来ました。

それは某R社の弁護士からのもので、 法律用語の羅列であり、 かろうじて解読できたのは 「当社の雑誌『とら○ーゆ』をサイト名に使っているのは 法律に違反するから、14日以内にサイト名を変えて、 全サイト上から『とらばー○』の言葉を消せ」ということでした。

私は驚くと同時に、呆れました。 商売をやっているわけでもないのに。 個人が趣味でやっている非営利サイトにいきなり 弁護士からメールを送ってくるとは、 この会社もヤキが廻ったんじゃないか。 こんなことでは雑誌「と○ばーゆ」も先が長くないんじゃないかと さえ思いました。

とはいえ、根っからの平和主義者の私です。 弁護士からのメールに「インターネットユーザーにおいて貴殿の開設する本件サイトが通知人と業務上、経済上あるい は組織上何らかの連携関係を有するものと誤認混同を生じさせる虞れが高い点で、・・・にも該当するものと思料されるものであります。」 ともあったので、「トップページの最上部に、拙サイトが『とらばー○』とは 無関係であることを書き、かつ宣伝になる形のテキストリンクを貼るのはどうでしょうか」 という提案をしました。 検索したときに、トップページの最初のほうの文章が表示されるのですから、これは 向こうにとって、決して不利な話ではありません。

でも、向こうの回答は「ノー」でした。
そして、 またまた「14日以内に対応しなければ、法的措置も辞さない」と書いてありました。

実を言うと、1999年のサイト開設時から、 「とらば○ゆ」という名称を使うのは 得策ではないかもしれないと思っていました。 それは商標登録云々ということとは、 全く違う次元の理由によります。 (なにしろ私は個人の非営利サイトで 商品名を使うことが、いけないことだとは 知らなかったのですから)

私が心配したのは、 「とら○ーゆ」が、いずれなくなるものだという点でした。 もちろんこのサイトもいずれなくなるでしょうが、 どちらが先になくなるかは、わかったものではありません。 採算がとれなくなったら、 商業ベースのものは消滅します。 それに対して、 個人サイトというのは、商売抜きであるこそ、 長続きしやすい。 早い話が何も手を入れずに放置しておいても、 ネット上に存在し続けます。

このサイトの内容を端的に伝えるには、 フランス語の"travail"という単語の日本語表記が必要でした。私はコンテンツの表題に、アルファベットを使用しない主義なのです。(唯一の例外が「旅のアルバム」のコーナーです。) 「トラブル」「トラバーユ」という 片仮名語が2つ続くのは、デザイン的に今一つという気がしました。だったら平仮名にしてみようか。 日頃から親しみを抱いていた「とらばー○」 の名前を使ってみたら、これがなかなかいい感じ。 でも、サイトを開設した後で 廃刊になったら、なんとなく マヌケだな。 「とらば○ゆ」さん、これからもずっと 元気でいてちょうだいね。
心の中でこんなエールを送りながら、 私はこのサイトをアップしたのでした。

最初に書いたように、弁護士からのメールを読んだ瞬間、 「『とら○ーゆ』は先が長くないかも」と思いました。そして、 「これは、今が縁を切る潮時だという、 『天のお告げ』なのかもしれない」という気持ちがよぎりました。
でも、愛着もあったのです。 だからこそ、仲良くしていく唯一の方法として、「リンクいたしましょうか」という提案をしたのです。

それと同時に、 弁護士からのメールに関して、友人・知己に「かくかくしかじかだが、 法律のことを説明してくれる人はいないか」と聞いて廻りました。 もしかしたら、 私の周囲における某社株は 大暴落したかもしれませんが、 それは私の関知するところではありません。

それにしても「法的措置」って何をするのかしら。訴訟なのかしら。  でも、変に話題になった場合、被るダメージは企業のほうが大きいのではないかと思いました。 なにしろこっちには失うものなど無いのです。 金銭的に失うものはあるでしょう。 でも、考えてみたら、 いつも数十万円使ったあげく、場合によっては風邪で寝込んだり、 下痢に苦しんだりと、身体を張ってネタを仕込んできているのです。 訴訟になって、勝ったらそれこそ儲けものだし、たとえ負けてなにがしか取られたところで、 おいしいネタになるという点では、同じではないかとさえ 思いました。 そこまで考えたなんて、 向こうは想像もしていないでしょうね。

問題は法律云々なのではありません。 最初のメールが 「実は おたくのサイト名には法律上問題があるのです。つきましては、 大変お手数をおかけしますが、 変更していただけないでしょうか」 というものだったら、 問題なかったのです。つまり これは顧客対応の問題です。 そこにそもそものボタンの掛け違いがあったのです。

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もしも今これを読んでいるあなたが、 企業の経営者でおられるなら、 以下を特に良くお読みください。

個人が趣味でやっている非営利サイトで、 あなたの会社の商品名を使っている人間というのは、 あなたの会社の敵ではありません。 味方、少なくともシンパであり 、 限りなく顧客に近い精神性を持つ1人の個人なのです。 そういう人にいきなり居丈高なメールを送るのは 顧客をないがしろにすることと同じであり、 企業にとして、最もまずいやり方です。 法律用語を並べ立てた弁護士のメールにただ怯えて 、唯々諾々と要求を呑む人もいるのかもしれないけれど(その場合も、顧客を1人失うことになります)、 私の場合はまず呆れ、そしてじわじわと怒りを覚えました。

「顧客を怒らせると企業は大変な目に遭う」というのは 昨今の常識だと思います。 怒った相手と裁判で争うことまでは、 企業も覚悟しているのでしょうが(でも、 先に述べたように、 深手を負うのは 企業のほうかもしれません)、 言うなればそれは20世紀までの国家間の戦争。 想像するに、一番怖いのは ネット上でのゲリラ戦、あるいはテロ 行為のほうではないでしょうか。 ネットというのは、 風評を増幅させるということに関して、きわめて高い機能を持っているのですから、 もしも相手が 根に持つタチで、悪知恵が働く人だったら、 怒りにまかせて、 どんな仕返しをするか、わかったものではないと思うのです。 私がそういう人間でないのは、 某社にとっては幸運なことでした。

「顔の表情の見えないネットの世界では、 普通の世界以上に、言葉遣いに気を付けなければならない」と 言われます。 その点をどうぞお忘れなく。 まずは相手に好印象を与えることです。 弁護士が出てくるのは丁重なメールを 送ってもダメだったときのみになさいませ。 あるいは、 「法律上の詳しいことに関しては 近日中に弁護士からメールを送らせますので、 どうぞご覧下さい」というのも いいかもしれません。

というようなことを、事情通の友人に話したところ、 「下手なメールを送ると、逆に法律的なことで突っ込まれるから、とにかく弁護士に対応させる企業が多いようだ」と言われました。 (訴訟大国・アメリカの後を追っているのだとか。 アメリカって嫌ね。) でも、それは私に言わせれば企業の怠慢です。 だったら、 最初の1通だけでもいいから、 「きわめて丁重な(慇懃無礼ではなくて、サイト主を恐縮させるような) 文面で、かつ、相手に突っ込まれないメール」を、 法律家を含めたチームで作成するべきです。 なんだったら、文章のプロを雇っても いいのではないかと思います。 弁護士も外注なのですから。 ほんとうに企業イメージを守りたいのなら、 宣伝のためにコピーライターを雇うのと同じように、 慎重を要するメールを書く 専門家を雇うのは、ごく自然なことではないでしょうか。

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ところで、私は弁護士に対しては、悪い感情は持っていません。 あちらは自分の職務を忠実に果たしただけなのですから。小難しい 法律用語が並んだメールを解読しながら、こんなことを思いました。
・・・これを書いた人はどんな人なのだろう? ・・・仕事柄、こういう物言いをしなくてはならないけれど、 1人の人間として語りたいときもあるだろうに ・・・会って話をしたら、いい人かもしれないなあ ・・・案外気が合ったりして ・・・ もしかしたら、このサイトを見て「『味な思い出』に投稿したいなあ」なんて思ったかも・・・
なにしろこっちは 子供のときからいろいろ本を読んでます から、 空想力(妄想力?)だけは人一倍 あるんです(^^)

ちなみに、 「地球の歩き方」は、 当サイトをリンクしてくださっています。 「ホントの地球の歩き方?」などという コーナーがあるのに。 その事実に気づいたときは 心底驚きました。 ほんとうに感謝しております。

また、某社刊の 雑誌「エイビー○ード」は当サイトを2回も 掲載してくださいました。その節はありがとうございました。 お申し出をいただいたときは嬉しかったのですよ。

それにしても、 本社とその傘下の各編集室が違うということは わかるし、 そのときのエイ○ーロードの担当者は 社員ではなかったのかもしれないけれど、 サイト名を見て その担当者が不都合を感じなかった という事実は大きいと思うのです。 「ダメだったのなら、そのときに言ってよ」が 普通のユーザー感覚というもの です。 本社のカスタマーサービス宛てに出したメールではその点にも触れましたが、 回答はありませんでした。 かわりに弁護士からのメールに「本社にメールを出したようだが、今後メールは当方宛てにするように」とありました。 つまり、 この件に関してはひたすら弁護士にお任せ状態ということだったのです。

本社から 誠意のあるメールの1通でもあれば 印象はがらりと違ったのに。 ほんとうに残念です。

普通の顧客の感情を 大切にしてくれる企業が 増えることを祈りつつ、 この駄文の結びとさせていただきます。

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: 知り合いの弁護士を始め、いろいろな人から話を聞いたところによると、商品名をサイト名に使うことが、ほんとうに法律違反なのかは、 かなり微妙なようです。
つまり、サイト名に商品名を使っても、 訴訟に勝つ可能性はあるのです。 ただ、向こうがどのような形で商標登録をし、 法律のどの条文を盾にとってくるかによって、 微妙に違うそうですが。 また、「法的措置を講じる可能性がある」ということはつまり、 何もしてこない場合もあり得るとのことです。
私の場合は、最終的に サイト名を変えるという選択をし、 それでせいせいしているからかまわないのですが、 もしもあなたが同じような目に遭っているサイト管理人さんであって、どうしてもその名称を変えたくないのだったら、 泣き寝入りはせず、 法律に詳しい人に相談してみるといいと思います。 ご参考までに、こういうサイトもあります。 [↑元の部分に戻る↑]

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