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フランスの美術館

[2004/12/12] ブールデル美術館追加。

パリの美術館

ピカソ美術館】 5点

立地、建物、展示、どれをとっても最高。 パリの中でも特に雰囲気の良いマレ地区の真中に位置し、 昔の貴族の邸宅をそのまま美術館として使っている。 ただし、マレ地区は道に迷いやすいので地図を持参した方が良い。 実際、私は道に迷った。

展示作品の内容も充実しているが、それに加えて 各展示室に英・独・仏語の詳細な説明があり、 それを頑張って読むと(ものすごく大変なんだけど) 「にわかピカソ通」になれる。

1989年に私が行ったときはまだ知る人ぞ知るという感じで空いていたが、最近はかなり混んでいるという話である。

オルセー美術館】 5点

場所はパリの真中、セーヌ河畔。好立地と言うべきだろうが、 実はそばに何もないという不思議なところにある。 昔の駅舎を改造した建物はトレビヤンである。

ここの「みもの」はなんと言っても印象派の絵画である。

ところで印象主義の作品、特にモネの絵というのは 飽きやすいのではないだろうか。実は私は飽きてしまった。(だから、印象派の作品を中心として収蔵している美術館に対する私の点数は概して低め。印象派ファンの皆さん、ごめんなさい。) 今は印象派の本流からはずれたゴッホやセザンヌのほうに 心惹かれる。ここの私のお薦めはマネの「笛を吹く少年」と ゴッホの「オーヴェルの教会」である。 ゴッホは「黄色」のイメージが強いが、私は彼の濃いブルーが好き。

国立現代美術館】 5点

パリの奇妙な建物として有名なポンピドー・センター内にある。

「現代美術はわけがわからない」と思いこんで長いこと 敬遠していたのだが、あるとき意を決して行ってみたら その素晴らしさに感激した。

ここにいるとマティスが大好きになる。 最初は違和感を抱いていたポンピドー・センターの建物も、 中で現代芸術に触れているうちに親しみのある存在に変わってくる。

この建物はそれほど高くないのだが、 上のカフェからの眺望がわりと良いので、 美術鑑賞のあとで一服するのも悪くない。

ちなみに、ポンピドー・センターのもうひとつの目玉は 外の広場でやっている大道芸である。

ギメ美術館】 4.5点

パリにある東洋美術の牙城。 何もわざわざパリで東洋のものを見なくても・・・と 思っていたのだが、行ってよかった。 日本人にとってなじみのある展示品が多いだけに、 展示の仕方、空間の使い方が 日本の美術館と微妙に違うことが、却ってよくわかる。 フランス人の美的センス、さすがです。

この美術館の素晴らしい点は、 中国コーナーには中国語(つまり漢字)の説明が施されていること。 外国で中国の展示品を見ると、呆然となるのが常だが、 ここではそんな思いをしないですむ。 (日本コーナーにも日本語の説明がある。 本当は韓国コーナーにも漢字が欲しいところだが、 これはわがままというものだろう。)

仏領だったカンボジアのコレクションが充実していることで知られているが、 その他の国のコレクションだって、なかなかどうして。 各国の仏像の顔つきを見比べるのは楽しい。 個人的に最も強い印象を受けたのは、 アフガニスタン芸術。 行ったのが、タリバンによるバーミヤンの破壊及び アメリカによるアフガン空爆の記憶がまださめやらない 2001年の年末だったためである。

[2004/1/10追記] 再度行ってみて、しみじみ感動してしまった。 気に入った仏像の前でぼーっと過ごすのが好きな人にはたまらないはず。 4点から4.5点にアップ。

中世美術館】 4点

カルチエ・ラタンは私の縄張り(?)です。 その真中にある廃墟のような建物。 見なれた風景の一部として気にも留めていなかった。 めぼしいところをあらかた見尽くしてしまったある日、 改めてガイドブックを読み直したところ、 これも美術館だったことを知り、遅まきながら行ってみた。

そして感激した。時代を経てもなお色鮮やかな タピスリーの美しさには声も出ない。 フランスって美術品の宝庫なのだな、と再認識した。

5点にしてもいいかな。

ジャックマール・アンドレ美術館】 4点

エドゥアール・アンドレは大金持ちの御曹司。働く必要がなかったので妻・ネリー・ジャックマールと二人してその人生を美術品収 集に賭けたのである。その執念たるや 「うーむ、あっぱれ」と言いたくなる。

まずは屋敷。入ってすぐの大広間もなかなかのものだが、 1階隅にある温室が素晴らしい。 いつまでも立ち去りがたい気分にさせられる空間。

美術品に関しては、2階のイタリア美術のコレクションが充実している。 中でもボッティチェッルリの「聖母子像」は見逃せない。

入場料は多少高めだが、オーディオガイド込みの値段である。 日本語のを貸してもらってじっくり楽しもう。 アンドレ・ジャックマール夫妻の暮らし振りや、 美術品購入秘話など、実に興味深い解説が聞ける。 ここでいくつか披露したいのだが、バラしてしまうと 面白味が半減してしまうので、やめておくことにする。

ここはパリの穴場。 場所は観光ポイントから少し離れたモンソー地区だが、 プランタンやギャルリー・ラファイエットから地下鉄ですぐ。 デパートめぐりのついでに足を伸ばしてみたらいかがだろう。

ブールデル美術館】 4点

最寄り駅Montparnasse-Bienvenueは大きすぎます。どこから出たらいいのかわからなくて、適当な出口から出て道に迷い、はっと気づいたらレンヌ通りでお買い物していた・・・ということを、2度もやらかして、 この美術館とはご縁が無いのかもと思いかけていたのだが、3度目の正直でようやく行けた(苦笑)。 マジな話、Falguiere駅(メトロ12号線)から行ったほうが、迷わないで済むと思う。

私のように道に迷う人が多いせいではないだろうけれど、この美術館は空いている。 だから好印象だったのかも。4点は甘い?
白状すると、 ブールデルのことはほとんど何も知らなかったのである。だからロダン美術館と違って、新鮮だったのかも。。。などという冗談はさておき、 ここは美術館として、かなりイケている。 まず、前庭に展示された馬を見上げると、 パリっ子たちにきわめて評判の悪い超高層のモンパルナス・タワーが、一緒になって目に飛び込んでくるのが、なんだかとってもアート。 生活感が色濃くにじみ出ているアトリエや、木々の濃い緑と一体になった裏庭の彫刻作品もいいムード。 大ホールは天井が高くて、空間が十分にある。 彫刻美術館というのはこうでなくちゃ。

アラブ世界研究所内の美術館】 3.5点

いよいよパリの美術館を見尽くすかという段階になり、ついに足を向けたアラブ世界研究所。 その中の「ミュゼ」を「美術館」と見るか、「博物館」と見るかは、かなり微妙なところであるが、 とりあえず美術館ということにしておく。

実は「アラブと言えばイスラム→アラベスクのタイル」 ぐらいの認識しかなかった私。ここの展示を見て、現在「 アラブ世界」と呼ばれている地域が「先史時代」「ギリシャの影響」「ローマの影響」「コンスタンチノープルの影響 」という長い段階を経て今に至っているのだという事実を、改めて教えられた。

それに加えて、ここは建物自体、一見の価値がある。 外から見るだけではなくて、中に身を置いて見るのも 1つの立派なアート体験。その点も考慮に入れれば、 このくらいの評価を与えていいと思う。

ロダン美術館】 3.5点

ここも感じの良いお屋敷がそのまま美術館になっている。

一言で言って、悪くはないがあまり新鮮味が無かった。 ロダンの作品は今までに見慣れすぎてしまっているのかもしれない。 また、絵画よりも彫刻の方が周囲に空間を 必要とするのではないだろうか。 狭い部屋にごちゃごちゃと置かれているような印象を受けた。

私が一番感動したのはロダンの作品ではなく、 彼の高弟であり愛人であったカミーユ・クローデルの 「分別盛り」を見たときだった。 ロダンを巡る女同士の戦いに敗れ、 引き裂かれた彼女の心がそのまま形になっている。

ここの本当のお勧めは庭園。(庭園だけのほうがもっと高い点数になるかも)  木立の間にひっそりたたずむロダンの作品と屋敷の コントラストは絶好の被写体である。 隣のアンヴァリッドの金屋根を借景にするのも良い。

オランジュリー美術館】 3.5点

印象派やモネが好きな人には超お勧めの美術館。こんな点数付けちゃってごめんなさい。。

地下展示室はモネの「睡蓮」のために特別に作られたもの。 確かになかなかにしゃれた空間ではある。 人がいっぱい(特に日本人がものすごくたくさん)いて、 みんな感嘆の声をあげている。

私がここに行ったのはモネに少し飽きてきたころだったので、 ちょっと白けて「どうしてモネだけがこんなにヒイキされるのだろう?  有力者にコネでもあったのか?」などけしからぬことを考えてしまった。
モネの好きな人、ほんとうにごめんなさい。

マルモッタン美術館】 3.5点

これもオランジェリー美術館と同じく、 たぶん、、、いや、きっと辛過ぎ。 印象派のファン必見の美術館。

パリの外れにあり、地下鉄の駅からもかなり歩くのに モネの「印象・日の出」を見に、たくさんの日本人が来ている。 駅から遠いが、この地域は高級住宅街なので歩くのがけっこう楽しい。 建物もとても優雅でステキ。

【装飾芸術美術館】 3.5点

ルーブル美術館の一角にあるが、ここはすいていてほっとできる。

フランス人というのは家具を一目見て 「これは王政復古の時代のものだ」とか「これは帝政時代だ」と言い当てるので、 なあんだかとってもかっこいい。 我々日本人は箪笥を見ても「これは徳川何代将軍のときのものだ」 なんて言わないのに、とつねづね思っていたのだが、 ここの展示を見て、フランスの家具調度のスタイルが 時代によってかなり大きく異なるということを 「ちょっぴりだけ」理解することができた。セーブルの食器がごまんとある。 一番面白かったのはおもちゃの展示だった。

・・・とここまで書いて、ガイドブックを見たら、 これは「装飾芸術美術館」ではなく「装飾芸術博物館」と 訳されていた。うーん、このコーナーは「世界の美術館」なのに。 でもせっかくだから、カットするのはやめとこっと。

コニャック・ジェイ美術館】 3点

コニャックはお酒ではなくて人名。 デパート「サマリテーヌ」の創始者のコニャック氏は 11歳で身寄りをなくし、辛酸をなめたが、後に大成功をおさめた。 彼の妻(ジェイさん)もなかなか有能だったらしく、 二人してせっせと財を築いたということだ。

成金夫婦のコレクションだからといって、 テレビの「豪邸拝見」に必ず登場するトラの皮なんかを想像してはいけない。 ここを見る限り、フランスの成金はとても趣味がいいようだ。

マレ地区の真中の美しい邸宅がそのまま美術館になっていて 雰囲気も最高。絵画はワトー、フラゴナール、ブーシェといった ロココ時代のものが中心だが、ここでは室内装飾全体を鑑賞するべきだろう。 上記の装飾芸術博物館にも劣らないほど見ごたえがある。

ただしこの建物、小さく見えても中はものすごく大きい。 甘く見た私は口がきけないほど疲労困憊した。だから点数は辛め。

【ニッシム・ド・カモンド美術館】 3点

これもお金持ちのお屋敷。 ジャックマール・アンドレ美術館コニャック・ジェイ美術館 を見たあとだと、特に目を見張るようなものがあるわけではないが、 モンソー公園の脇という立地はなかなかのもの。 せっかく行くからには、公園を散策する時間も確保しておきたい。

私の一番のお気に入りは、1階の隅の台所と使用人控え室。 ここできっと使用人同士の恋のさやあてなんぞが演じられていた のだろうな。愛らしい小間使いの名前は、きっとジャンヌだわ。 彼女をひそかに恋焦がれる料理人見習の若者がジャックね。 執事のシャルルが、いい年してジャンヌに横恋慕して・・・と、 妄想は際限なく膨らむのであった。。。

【ギュスターヴ・モロー美術館】 3点

地下鉄トリニテ駅のそばにある。 この辺は静かで古き良きパリを感じさせるとても風情のあるところ。 建物もいい年のとり方をしている。

モローの絵には、どこか蒔絵に通じるような東洋的なものが あるように感じられる。それほど混んでいないのに、 やけに日本人の姿が目につくのはそのためか。

彼の使った絵の具の質に問題があるらしく、 作品の損傷が目立つのが残念である。

ザッキン美術館】 3点

彫刻家ザッキンのアトリエだったということで、ごくごく小規模な美術館なのだが、秘密めいた路地の奥にあり、そのアプローチをたどるだけで、ちょっぴりわくわくしてしまう。 館内は狭いが、中庭に面した大きなガラス窓が外の光をふんだんにとりこみ、すがすがしい。 悪くない。

市立近代美術館】 3点

広くてすいている。パリの雑踏に疲れたときに行くと良い。

常設展の中で有名なのはマチスの「ダンス」。 かなり期待して行ったのだが、思っていたより小さくて ちょっとがっかりした。 もう一つの目玉はデュフィの大作で、こちらの方が 知らなかった分だけ感動が大きかった。

特別展にかなりのスペースが与えられているので、 そのときどきでずいぶん印象が変わるだろう。 ゆえに点数はつけにくい。

98年には改装閉館中のポンピドー・センターの作品が展示されていて、 偶然行った私は「超ラッキー」であった。

マイヨール美術館】 3点

太めの女性像で有名な、 彫刻家マイヨールの美術館。 最寄りの地下鉄駅がRue du bacというのは、 個人的に好みの地域なのだが、 この美術館、彫刻を楽しむには空間が少なすぎる。 前述のザッキン美術館よりも面積は大きいかもしれないが、こちらは窓が少ないため、開放感に欠ける。 マイヨールの彫刻だけでなく、絵も見ることができたのは収穫だったが。

私が行ったときは、たまたま他の画家の特別展にかなりのスペースが割かれていたため、なおさら狭さが印象に残ったのかもしれない。

ルーブル美術館】 2点

あのルーブルがなぜ?と思う人が多いだろうが、この美術館は大きすぎる。
私は2回行って2回とも混雑と疲労のため気分が悪くなって死にそうになった。

2回目は前回懲りたので「オランダ絵画だけ見てすぐ帰ろう」と思って 行ったのだが甘かった。 館内見取り図を見ながら「あと2部屋先だ」とさっさと歩いても、 目指す部屋にはなかなかたどり着けない。 (一つ一つの部屋自体が大きいのだ。)

「世界の美術品が一堂に会する」というのは普通、褒め言葉なのだろうが、 ルーブルの場合はかえってそれが欠点になっている。 よその国から分捕ってきたものは返せよと言いたくなる。 「サモトラケのニケ」は好きなんだけど。

ガラスのピラミッドの前で記念写真を撮れば十分だ、というのは言い過ぎかなあ。 あと、お土産を買うには便利なところである。日曜日も開いているし。

【プリウレ美術館】 2点

ここにはモーリス・ドニを中心とするナビ派の作品が収蔵されている。

でもナビ派もドニも知らなかった私。 ここで初めて見たが、どうも好みに合わなかった。 ゴーギャンの流れをくんでいるというが、 ゴーギャンにははるかに及ばないように思う。 (ドニのファンの人がいたらごめんなさい。) つまらなかったので館内を走るようにまわって出てきたら、 受付の人に「本当にもう見てきたのか」という顔をされた。

ここは厳密に言うとパリではない。 RERに乗って20分、もうあなたはサンジェルマン・アン・レーというこぎれいな町にいるであろう。 空気からしてリッチな香りがする。 いわゆる「おフランス」の雰囲気を満喫したいならぜひここに来るべきである。 美術館はあまり面白くないが、この町はいい。 混雑したパリで窒息しそうになったときには特にお薦めである。

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