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フランスの美術館

カルト・ミュゼ(ミュージアム・カード)を使ってのコートダジュールの美術館めぐりは、手軽に楽しめるのでどなたにもお勧めです。 パリと違ってこじんまりした美術館ばかりなので疲れません。(苦笑)

[2008/3/22]プロヴァンスの美術館(ランベール現代美術コレクションアングラドン美術館プティ・パレ美術館ピエール・ド・リュクサンブール美術館レアチュー美術館)追加。

南仏の美術館

ニースのシャガール美術館】 5点

正式名称は「シャガールの聖書のメッセージ美術館」なので、メインの部屋に展示されている作品は旧約聖書の各場面を描いたもの。だからその意味を理解するのは本当は難しい・・・はずである。 が、ここは難しいことなど考えずにただただシャガールの色彩のとりこになっているだけで充分に楽しめる。

脇のコンサートホール用の部屋のステンドグラス、これは天地想像を描いたものなのだそうだ。これもとても美しい、、、けれど解説してもらった方が面白い。

でも心配は無用。ここには日本人ツアー客が大挙してやってくる。ほんとに大勢。私はあんなに多数の日本人ツアー客を見たのは生まれて初めてだった。おかげでツアコンの解説を盗み聞きできる。ツアー客のせいで混んでいることを嘆くよりも、そのメリットを生かそう。彼らがいなくなってから、ゆっくりともう1度好きな作品の世界に浸ればよい。

この美術館は建てられる以前から展示作品が決まっていたという。だから作品を生かすというただ一つの目的のために建てられた。その目的は充分に達成されている。ここの作品たちは幸せだ。

サン・ポールのマーグ財団美術館】 4.5点

超有名な観光地、サン・ポール。そこから徒歩10分の森の中にたたずむこの美術館に、日本人の姿が皆無だったのには驚いた。カルト・ミュゼが使えないせい?確かに入場料50フラン(2000年現在)はちょっと高いが。

シャガールも数点あるが、ここの見所はミロの2部屋と屋外の彫刻等の展示なのではないだろうか。

門を入って右手にはチャペルがある。中世ロマネスクの「十字架のキリスト」と現代彫刻を組み合わせたもの、というといかにも珍奇なイメージを抱かれるかもしれないが、実に何気なく、さりげない空間である。悪くない。

この美術館の良さを堪能するには、天気の良い日に来るべきである。

【ニースのジュール・シェレ美術館】 4.5点

ニースの中心から離れた住宅地にあり、ちょっとわかりにくいが、 立派な邸宅を眺めながら歩くのがまた楽しい。 せっかくニースに来たからには、頑張って足を伸ばして欲しい。

ここの目玉は(一応)デュフィなのだろう。他にシスレー、モネなどもあるが、 印象派を楽しみにしてくると失望するかも。 なにしろ、最初に出迎えてくれるのが古い古い宗教画(私はわりと好き)やら、 ヴァン・ローとかいう「なんちゃってルーベンス」やら、 (「地獄の」でも「花の」でもない)「ビロードの」ブリューゲルやらだったりするからだ。 他もほとんど日本では知られていない画家の作品ばかり。 でも、それらが建物にしっくりなじんでいて、絶妙のハーモニーを奏でている。

ホームラン・バッターこそいないが、 こつこつとバットに当ててくる、しぶとい巧打者が並んでいて、 気がつくと、ベスト8あたりまで勝ち進んでいる高校野球チームのような感じの美術館。 お勧めです。

ビオットのフェルナン・レジェ美術館】 4点

アーロン・エルキンズの推理小説に「レジェは贋作が容易だ」と書いてある。 確かにあの レジェ独特の、くっきりした輪郭の顔は 簡単に真似できそうだ。 あまり魅力的な顔つきでもない。「いったい何がいいのだろう?」というのが、 正直な気持ちだったのだが、 せっかくビオットにまで来たので、行ってみた。

広々した展示室に入ったとき、目に飛び込んできたのは、 例によって、あの顔だった。 しかし、素材はセラミック、そしてタピスリー。 その瞬間、思った。 「レジェは造形芸術家。そしてグラフィックデザイナーの先駆けなのだ」と。 そう考えると、レジェの良さがわかる。 画家だと思うからつまらなく感じるのである。

この発見が嬉しかったので、この美術館の評価はぐんと高くなってしまった。ちょっと甘いかな?

【アンティーブのピカソ美術館】 4点

ピカソは長生きだった。「老いても創作意欲は衰えることを知らず、次々と素晴らしい作品を生み出していた」みたいなことが言われているが、やっぱり老いてからの作品は壮年期のものほどではないと私は思う。 パリのピカソ美術館で彼の主要作品を年代を追って見てそう思った。

アンティーブにピカソが住んだのは晩年である。というわけで、ここにある作品は彼のものの中では1級品ではないのだということが、見てみてわかった。数も少ない。 正直、「あれれ?これぽっち?」という感じ。 下のフロアにあるビデオを使った現代芸術のコーナーの方が面白かったりして。 だから内部だけだったら3点である。

ただ、この美術館は立地が素晴らしい。作品を見つつも、ついつい窓の外の海に目が行ってしまう。海の眺めこそがここの最大傑作だ、なんて言ったら怒られるだろうか。

テラスに出ると、悠久の波音があなたを迎えてくれるだろう。 この美術館で1番素敵な場所は実はここである。

ニースのマティス美術館】 4点

マティスというと色鮮やかな作品を思い浮かべるが、そういう作品はパリの国立近代美術館にある。ここにはモノクロの作品がやけに多くて、なんとなく日本の水墨画とか書道の展覧会を見ているような気になってしまった。

中身だけだったら3点かな。でも建物の雰囲気が良くて、静かだったから好印象。

ニースの近現代美術館】 4点

以前の私だったら3点だっただろう。でも今の私はゴミを集めたようなシュールな作品を見ても怒らない。芸術家の努力に、理解とか共感までは行かないが、何かを感じるようになっている。絵画に関しても1色に塗りつぶされているのだけは今も嫌だが、2色なら許せる。そんな私に1色でも許せることがあり、それどころか、人を感動させることができるのだということを教えてくれたのが、ここのイブ・クラインの作品群だった。

とは言うものの、ここの最大の魅力は中身よりも建物。(南仏編はこのパターンばかりだ。)ぜひ最上階のテラスに上がって建物を1周してみて欲しい。足腰の弱ったお年寄りは危ないかも。来た人にこういうパフォーマンスをさせる建物ってアートだなぁと私は思ったのです。

【アヴィニヨンのランベール現代美術コレクション】 4点

2000年から20年間という期間限定の美術館らしい。 しかも展示は時々変わるらしい。私が見た展示はなかなか面白かった。建物もとて もいい感じ。

こうい うところに来ると、日本とフランスとでは、現代アートへのなじみ方に天と地ほどの差があると感じる。 なにしろ、幼稚園児ぐらいの子どもを連れたお母さんがふらりとやってきて、子どもも楽しそうに(だからといってうるさく騒ぐわけではない)見てるんだから。
ちなみに、私が見た展示のテーマは「キス・唇」。このテーマ自体、フランスに合っているとも言える?!

ガイドブックでは星1つしか付いてないけれど、現代アートを忌避しない人にはおすすめ。

アヴィニヨンのアングラドン美術館 4点

セザンヌやゴッホ、フジタの作品がある。と言ってもそれぞれ1点ずつしかない。1点しかないと、往々にしてレベルが低い作品でがっくりさせられることがあるのだけれど、ここのは良い。 でもだからと言って ガイドブックで星3つ付いてるのは甘いと思う。 そのせいで期待しすぎてがっかりしてしまった。

ただ、私が行ったときにやっていた、アンドレ・ドランの特別展の展示のセンスの良さには感動した。 いつもそういう特別展をやっているのだったら、ここのスタッフはすごいかも。

ということで、ちょっとオマケで4点。 むしろガイドブックが星2つだけだったら、「星2つだけど案外いいじゃん」と思って4点つけたかも(苦笑)

【アヴィニヨンのプティ・パレ美術館】 3.5点

イタリアの宗教画がうじゃうじゃある。 そのジャンルを嫌っているわけではない私だが、どうせイタリア絵画を見るのだったら、別にここでなくてもイタリアに行けばいいのだ、、、などと思ってしまった。山ほどある「聖母子像」の中で、やはりボッティチェルリのはひときわ光っている。凡庸な画家が描くマリアと違って、表情が生き生きしている。

アヴィニヨンに教皇庁が置かれたということは、 「教皇がフランスにやってきた」のではなく、 「当時この地域はフランスというよりイタリア文化圏に属していて、教皇にとってはイタリアの中で引っ越ししたようなものだった」のだ(もちろん当時は今みたいな国の概念はなかったのだけれど)ということを実感できたのはよかった。

「イタリアの宗教画が大好きなのに、 イタリアには行くチャンスがない」という人にはおすすめ。(超限定だなあ。)

ヴィルヌーヴ・レザヴィニヨンのピエール・ド・リュクサンブール美術館 3.5点

1階に彫刻「象牙の聖母像」、2階にアンゲラン・カルトン描く「聖母戴冠」がある。この2つは確かに素晴らしい。 しかも、「聖母戴冠」の正面には座り心地のいい大きなソファーが。 普通、有名な作品のある部屋は混むので、ソファーなんか置かれていないもの。
この美術館は見る人に優しい。それとも、ろくに人が来なくていつも空いているということなのか?

他の作品もあるにはあるけれど、あまりにも格が違うので、あるうちに入らない。 わざわざ3階まで行って見る価値無し。それどころか、「口直し」の反対なので、見ないほうが身のため?!

ガイドブックでは星3つだけれど、私としては、2つしか見るべき作品がない美術館にはそんなに高得点はつける気になれない。(2つもあれば十分、という考え方もできるけど)。 ただ、上の階の窓から見えるヴィルヌーヴの町並みはなかなか素敵で、これも収蔵作品の数に入れてもいいかもしれない。 (書いているうちに4点にしてもいいような気がしてきました。)

【カーニュの地中海近代美術館】 3.5点

カーニュの旧市街オ・ド・カーニュの古い城の中にある。丘のてっぺんにあるオ・ド・カーニュの、そのまたてっぺんにあるのだから、最高に眺望がいい。カルト・ミュゼがあるのなら、入らない手はない。

南仏ゆかりの画家の作品があるのだが、ほとんどは知らない人ばかり。ローランサンが1点、シャガールのリトグラフが4点。ひときわ光っていたのがフジタ・ツグジだった。

ここでも絵を見ながらついつい窓の外に目が行ってしまう。建物も小さいけれど古めかしくてとてもいいムード。

この美術館と、フジタの絵については、こちらのブログに詳しく書かれています。

【カーニュのルノワール美術館】 3.5点

カーニュに行く日本人のほとんどが地中海近代美術館よりもこちらを選ぶようだが、、、まあ、趣味の問題かな。

ここはルノワールが晩年に過ごした家。美術館というよりも記念館。今までに同様のものとしてパリのドラクロワ美術館やオルナンのクールベ美術館(あっ、この二つ、アップし忘れていた!)にも行ったことがあるので、全く期待せずに行った。

そのせいかもしれないが、けっこう楽しめた。驚いたのは大きな肖像画をはじめとして、ルノワールの絵がちゃんとあったこと。(絵なんて無いと思っていたので。(^^;;)

息子たちの陶芸作品もあった。確かフランス映画の巨匠ジャン・ルノワールは彼の息子のジャンだったはず。

庭から美しいオ・ド・カーニュの全景が見渡せる。またその庭で子供たちがキャッキャッと声をたてて遊んでいたのが実に心温まる情景だった。

【アジャクシオ(コルシカ島)のフェッシュ美術館】 3.5点

ナポレオンの身内のフェッシュさんのコレクション。アジャクシオの見所と言ったら、この美術館と「ナポレオンの生家」だけなので、行くしかない。

あまり期待せずに行ったのだが、その大きさに驚いた。かなり広い2フロアにイタリア絵画がわんさかある。う〜む、やはりナポレオンはタダモノではない・・・

とは言っても17世紀の絵画が中心なのでどうもピンと来ない。「フェラーリって誰?車じゃないの?」状態で見ていたら、1つだけ古い絵画の部屋があった。そこにはなんとボッティチェルリの「聖母子と天使」の絵が!!!13世紀のリミニ派の宗教画もよかった。この部屋での感激が大きかったので、よっぽど4点にしようかと思うくらいなのだが、客観的には3点なのかな。

地下1階はナポレオン関係の展示。マニアだったら5点をつけるかも。

ヴァロリスの国立ピカソ美術館】 3点

アンティーブのピカソ美術館もたいして大きくなかったが、ここは更に小さい。「戦争と平和」という大作が必見だということになっているが、これも「ゲルニカ」などと比較するとヤキが回っている感じがする。(ピカソのファンの皆さん、ごめんなさい。)

唯一感心したのは、古い城の石の壁と、ピカソ晩年の陶芸作品がとても良くマッチしていたこと。

【ヴァロリスのマニエリ美術館・陶芸博物館】 3点

この2つは実質的には1つの美術館。ピカソ美術館の隣にあり、カルト・ミュゼで入れるから、多くの人が「ついでに」見ることだろう。

陶芸博物館単独だったら2点をつけるところ。陶芸作品というのは「どれが欲しいか」という観点で楽しむことができるものだが、ここには欲しいものなんか無い。片隅に世界各地の陶芸作品が展示されていて、我がニッポンのも小品が2点ほどある。日本の陶磁器が優れていることを実感。

マニエリ美術館は可も無く不可も無いといったところ。

アルルのレアチュー美術館 2.5点

建物の雰囲気はいいのだけれど、レアチューという人の絵はまるっきり面白くないぞ。
そんな中でピカソを見ると「さすが!」と思う。ガイドブックの星2つはピカソのお陰。 でもピカソと言ってもデッサンしかないし、そんなにたくさんあるわけじゃないし。

ピカソなら何でもいいから見たい、という人には4点の価値があるかもしれないけれど、私にはこれ以上の点はつけられません。

グラースのフラゴナール美術館】 2点

私はガイドブックに文句を言いたい。 なぜこの美術館に星を3つも付けているのか?

ものすごく誉めているので、期待して行ったのが間違いだった。 ここに有るのは フラゴナールの壁画の模写(本物はニューヨークのフリッツ・コレクション蔵)と、 フラゴナールの血筋の画家の手になる、数点の小品のみ。 南仏の美術館の多くは、中身の乏しさを環境の良さが補っているのだが、 ここには眺望すらない。建物もどうということはない。 古い建物をそのまま使っている美術館を、他に見たことがなければ、 少しは感心するだろうが。受付の女性はとても親切だった。たぶん、あの寒い冬の日に やってきたのは私1人きりだったんじゃないかな・・・。

ここはフラゴナール「美術館」ではなく、「記念館」というべきである。

近くにあるプロバンス歴史美術博物館・・・ これもあまりたいしたことはないが・・・のほうがマシである。 でも、もっといいのは、香水のフラゴナール社の工場付属の展示館。 美術工芸品を無料で楽しめる。

グラースで絵を見たい人はカテドラルに行くべし。(ここも無料だ。) ルーベンスがあるし、フラゴナールの真面目な宗教画があって、 これがなかなかいいのです。絢爛たるロココの寵児だった彼だけど、 宗教画路線で行ったほうが、後世の評価が高くなったのではないかしら。

番外編

ヴァンスのロザリオ(ロゼール)礼拝堂

マティスが作の礼拝堂。 ヴァンスのバス停から歩いて行ける。歩いている時点から日本人がいた。中に入ったらわんさかいた。日本人好みのスポットとして、ニースのシャガール美術館と双璧。入場料(ドミニコ修道会への寄付金)が必要。

ステンドグラスを通して入ってくる南仏の日の光がこの礼拝堂の命。南西の光が入る午後に行くべし。

ここでのミサはさぞかし素敵だろうと思ったが、とても小さいので座席が66しかない。(数える人なんてめったにいないだろうなあ。)だからうっかり眠ったらバレそう。それに、ミサが行われるのは日曜日の午前10時からだそうだ。ということは午後の日の光の中でのミサは無い。惜しいことだ。

夏だったらもっと光が強いから、もっと美しいのだろう。きっとその時なら5点満点。(でもものすごく暑いかも。)

【ヴィルフランシュのサン・ピエール礼拝堂】

ニースからバスで10分。もうそこは絵のように美しいヴィルフランシュの入江である。

その入江になぜか背を向けたように建つ小さな小さな礼拝堂。よくよく見れば正面の壁画も一癖ある感じなのだが、たいていの人は気づかずにその前を通りすぎてしまうだろう。中に入ると鬼才ジャン・コクトーの壁画が一面に広がる。聖ペトロ(フランス語でサン・ピエール)のエピソードを描いたものだが、その意味など考えなくても十分に楽しめる。ほとんど色を使っていないのに驚くほど華麗な世界。コクトーのモノクロ映画の傑作「美女と野獣」の豪華絢爛さを思い起こさせる。

入場料12フラン(2000年現在)は惜しくない。4点はつけられる。

ちなみに毎年6月29日にミサがあるそうだ。

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