フランス語版「長い冬休み」について


■はじめに■

ひょんなことからフランス語版「長い冬休み」を入手しました。 フランス本国でも絶版になっているという、「超」がつくレアもので、 日本に存在したということ自体が、すでに奇跡かも。 これを研究しなくてはランサマイトの名がすたる(?!)というわけで、 このコーナーが生まれました。

ほんとうなら表紙の画像をアップしたいところなのですが、 私の「長い冬休み」は表紙が取れてしまっている(!)ので、 お見せできません。ご覧になりたい方は、 偉大なるコレクターRobert Thompson氏のHP The Children's books of Arthur Ransomeこのページへどうぞ。

フランス語版があるのは1巻から7巻までのみです。 各巻の書名を紹介します。 (なお、当コーナーでは、アクサン記号とセディーユ記号を省略したことを、 あらかじめお断りしておきます。)

原題 神宮訳 フランス語版 フランス語版の日本語訳
Swallows and Amazons ツバメ号とアマゾン号 Hirondelles et Amazones ツバメたちとアマゾンたち
Swallowdale ツバメの谷 Le Vallon des Hirondelles ツバメ(たち)の谷
Peter Duck ヤマネコ号の冒険 Le Tresor de Peter Duck ピーター・ダックの宝
Winter Holiday 長い冬休み Hirondelles dans la neige 雪の中のツバメたち
Coot Club オオバンクラブの無法者 Le Club des Foulques オオバンクラブ
Pigeon Post ツバメ号の伝書バト Pigeons, Voyageurs et Chercheurs d'Or ハトたちと旅行者たちと金探鉱者たち
We didn't mean to go to sea 海へ出るつもりじゃなかった Nous ne voulions pas aller en mer 海へ出たくなかった

4巻の題名、ロマンチックでいいですね〜♪ (神宮訳のほうがもっといいけど。) 「ツバメたちだけが優遇されすぎ」という声が上がるかもしれませんが、 それを言い出したら6巻の神宮訳も同じこと。
6巻といえば、「旅行者たち」って誰なんだろう? ダンデル道路の道ばた で車をとめた人たちのこと? まさかねえ。
7巻ですが、普通、フランス語で「海へ行く」は"aller a la mer"。 でも、ここは"aller en mer"。これはまさに「船で海に出る」の意味です。 勉強になるんだわ・・・。

次に人物名のご紹介。

ジョン・ウォーカー=Jean Walker(ジャン・ワルケール)/ スーザン=Suzanne(シュザンヌ)/ ティティ=Micky(ミッキー)/ ロジャ=Roger(ロジェ)/ ブリジット=Brigitte(ブリジット)
ナンシイ・ブラケット=Marion Blackett (マリオン・ブラケット)/ ルース=Clemence(クレマンス)/ ペギイ=Margot(マルゴ)/ マーガレット=Marguerite(マルグリット)
ドロシア・カラム=Dorothee Callum(ドロテ・カルム)/ ディック=Dick(ディック)
ジェイムズ・ターナー=Paul Turner(ポール・テュルネール)

だいたいにおいて、英語名に対応するフランス語名にしていますが、 なぜマリオン、なぜミッキーなの?
クレマンスというと、この名前のローマ教皇が何人もいたような。 (教科書には「クレメンス」と書いてあるかもしれないけど。) 14世紀に「ローマ教会のごたごた」があったとき、 南仏のアビニヨンの教皇庁にいたフランス人教皇もこの名前でした。 ちなみに、形容詞clementは「慈悲深い」という意味。
マルゴは、マルグリットのオーソドックスな省略形だから、納得です。
ディック1人が、英語名を保っているのが不思議と言えば不思議。

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