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ティーセット

原典(おもに「スカラブ号の夏休み」)に基づいた劇の台本です。

原案作成はFoggy Scilly@妄想の塊。 大おばさん体質を自認する、 つぶれたクリームパンさんから細かいアドバイスをいただき、さらにARC(=アーサー・ランサム・クラブ)の演劇班のメンバーが知恵を出し合って完成しました。

私の「劇をやりたい」という発作的発言を温かく受け入れ、 協力して下さったARCの皆さま、 特に演劇班の皆さまには、心から お礼を申し上げます。


■■ 初演(2003年度ARC総会)時の配役・担当 ■■

大おばさん:Minnow
ナンシイ:HEARTY
ペギイ:ケルン
コック&ナレーション:Foggy Scilly
音響:イグルー
小道具:ピースオブエイト



シャミナード作のピアノ曲が流れている。幕が上がる。:ここで流れる曲は、ベックフット滞在を楽しむ大おばさんの心情を表すものなので、あくまでも明るく軽快なものでなければならない。)

ナレーション: ただ今より、劇「大おばさんの楽しいお茶会」を上演いたします。この台本はアーサー・ランサム原作、神宮輝夫訳「スカラブ号の夏休み」に基づいて書かれたものですが、作者の記憶違いにより、史実と異なる点がございます点、あらかじめお断りしておきます。 それではどうぞごゆっくりお楽しみください。
音楽フェイドアウト。

第1場:ベックフットの庭

大おばさん: (声だけ)ルース! マーガレット!
    大おばさん、日傘をさして登場。
大おばさん: ルース!! マーガレット!!
ナンシイ: (声だけ)すぐに行きます、マリアおばさま。
    ナンシイとペギイ登場。 白いワンピースを着て、髪にピンクのリボンをつけている。 ナンシイは胸を張り、ペギイは髪を気にしながら、大おばさんのもとへ。 大おばさん、2人を従えてベックフットに入る。

第2場:ベックフットの食堂

    テーブルにお茶の用意がされている。皿の上には小さなトースト。 大おばさん、テーブルのお誕生日席に着く。 ナンシイとぺギイ、大おばさんの両側の席に着く。2人ともガチガチに固まっている。 大おばさん、お茶を淹れる。
ナ&ぺ: ありがとうございます、マリアおばさま。
ナンシイ: お砂糖をどうぞ、マリアおばさま。
ペギイ: 牛乳をどうぞ、マリアおばさま。
    砂糖、牛乳を回している間に、大おばさん、ぺギイのリボンに気づき、目を細めて観察する。 ナンシイとペギイがいよいよお茶を飲もうとする瞬間
大おばさん: マーガレット、あなたのリボンはどうしたのですか。
濡れているのではありませんか。
ペギイ: あら、マリアおばさま。わたくしったらとても不注意ですわ。
    ぺギイ、部屋から出ていく。ナンシイ、ついお茶を飲もうとする。
大おばさん: ルース!
    ナンシイ、慌ててカップをソーサーに置く。つい背中が丸まってしまう。
大おばさん: ルース! 背中が丸くなっています。
    ナンシイ、慌てて姿勢を正す。まっすぐになろうとするあまり、背中が反ってしまう。 リボンを取り替えたぺギイ、戻ってくる。
ペギイ: (着席しながら)お待たせしてごめんなさい、マリアおばさま。
大おばさん: ルース! あなたの姿勢はおかしいです。背中が反りすぎですし(ナンシイ、背中をまっすぐにする)・・・・そう、そのぐらいです・・・・脇を締めすぎです。卵をはさむつもりで軽く脇を開けなさい(ナンシイ、脇をがばっと開ける)・・・それでは開けすぎです。卵と言ってもアヒルの卵ではないのです(ナンシイ、脇を少しずつ締めていく)・・・・・そう、そうです。お茶をいただくときや、食事のときは、その姿勢です。忘れないようにしなさい。
ナンシイ: (姿勢を崩すまいとこわばったまま)はい、マリアおばさま。
    ナ&ペ、トーストをがつがつと食べ始める。
ナレーション: 午後いっぱい、スカラブ号の港作りに精を出していたアマゾン海賊は、お腹がぺこぺこなのです。
大おばさん: そんなに急いで食べるのは、とても不作法です。
ナ&ペ: ごめんなさい、マリアおばさま。
大おばさん: 口にものを入れたまましゃべってはいけません。
ナ&ぺ: (慌ててトーストをのみこんで)ごめんなさい、マリアおばさま。
    ナンシイとぺギイ、残りのトーストは極端にちびちび食べる。
大おばさん: 2人ともよく聞きなさい。 お茶会というのは、ただお茶を飲むだけではないのです。会話を楽しむのもとても大切なことなのです。
ナ&ぺ: はい、マリアおばさま。
ナレーション: しかし、話しかけられるまで口をきいてはいけない2人は、黙っているしかありません。
    大おばさん、ハンドベルを鳴らす。コック登場。
コック: 何でしょうか。
大おばさん: 昨日のアップルパイがまだ残っていましたね。あれを2人のために持ってきなさい。
コック: (焦りながら)か、かしこまりました。(大慌てで退場)
大おばさん: マーガレット、シャミナードのレコードをかけてください。
ペギイ: はい、マリアおばさま。
    ペギイ、レコードをかける。シャミナードのピアノ曲が流れる。 :この曲は、できるだけスローテンポなものでなければならない。なぜなら、ナンシイは速い曲を弾けないからである。)
大おばさん:ルース、わかりますか? あなたがいつも間違えるのはここです。
ナンシイ: はい、マリアおばさま。
大おばさん: それと、今のこの二分音符がいつも短すぎます。
ナンシイ: はい、マリアおばさま。
    シャミナード、フェイドアウト。
大おばさん: 2人とも、「カサビアンカ」の暗誦はできるようになりましたか?
ペギイ: えっ、ええ、だってあれは学校・・・
ナンシイ: (さえぎるように立ち上がり)わ、私達、今日の午後、一生懸命練習しましたので、今おきかせできますわ。
ペギイ: (慌てて立ち上がり、ぺらぺらと)他のものがみなにげさりしもえる甲板に少年はたちたり。
大おばさん: 今は結構です。夕食の後に私の前で暗誦してもらいます。 この後もしっかり練習しておきなさい。
ナ&ペ: はい、マリアおばさま。
    コック、大慌てで作ったアップルパイを持ってくる。 ナンシイ、一口食べ、むせかえるが、必死の形相でアップルパイと格闘し続ける。
大おばさん: ルース!! 急いで食べるのは不作法だとさっき言ったはずです。
ナンシイ: (お茶でアップルパイを流し込みながら)ごめんなさい、マリアおばさま。
    コック、ナンシイがアップルパイを指さして何事か伝えようとするのを見て、自分がカスタードとマスタードを間違えたことに気づき、「マスタード」と書かれたびんを持ってきて、頭を抱えておたおたする。 ぺギイ、一口食べただけで、食べられず、フォークを置く。
大おばさん: マーガレット!! 出されたものを残すのは大変いけないことです。
ペギイ: ごめんなさい、マリアおばさま。でも、このアップルパイ・・・
    ナンシイ、テーブルの下でぺギイの足を蹴飛ばす。:ナンシイがこのような行為に出るのは、大おばさんには機嫌良くしていてもらいたいと、心の底から願っているからなのである。)
大おばさん: アップルパイがどうかしたのですか?
ペギイ: えっ・・・い、いいえ・・・
大おばさん: (コックに)コック、私にもアップルパイを持ってきなさい。
コック: わ、わかりました。
    コック、大慌てでアップルパイを持ってきて、大おばさんの前に置いて、すぐに逃げだそうとするが
大おばさん: (コックに)お待ちなさい。私が味見をします。
    大おばさん、アップルパイを一口食べ、妙な顔をし、中身をつつき、カスタードクリームだけをなめてみたり、匂いをかいだりする。フォークを置く。コック、気が気でない。
大おばさん: このアップルパイは夕べから今まで、どこに置いてあったのですか。
コック: い、いつものとおり、食料貯蔵室です。
大おばさん: ふーむ! 今日、台所のドアには鍵はかけてありましたか。
コック: いいえ、昼間は鍵はかけてありません。
大おばさん: このアップルパイには何者かによって、からしが入れられています。 (コック、息を呑む) これは今朝見かけた、型の崩れた帽子をかぶった浮浪者のしわざに違いありません。これからは、昼間も鍵をかけておくようにしなさい。 わかりましたか、ミセス・ブレイスウェイト。
コック: かしこまりました、ミス・ターナー。
    コック、やれやれという顔で退場。
大おばさん: これだからコックには任せておけないのです。モリーが帰ってきたら、よく言ってきかせなくては。 わたくしはこれから巡査部長宛てに、見回りを強化してほしいという、申し入れの手紙を書こうと思います。 2人とも、「カサビアンカ」を、夕食までの間に十分に練習しておきなさい。わかりましたか。
ナ&ぺ: はい、マリアおばさま。
    大おばさん、退場。ドアが閉まる音。 アマゾン海賊、とたんに弛緩する。
ペギイ: さっき蹴ったころ、痛い〜! 
ナンシイ: 何言ってんのよ。 あやうく全てが台無しになるところだったじゃないの、ペギイのとんま。
ナレーション: 「大おばさんの」楽しいお茶会は、これから十日間続くのです。
    シャミナードの明るく軽快な曲とともに幕が下りる。
THE END


この台本において、「からし入りアップルパイ」をネタにしたのは、 あくまでも、神宮輝夫氏に対する私たちの深い敬愛の念の発露であることを、 ここにおことわりしておきます。
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