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はじめに

西欧諸国での短期の語学研修の場合、一般にビザを取得する必要はありませんが、本格的な「留学」となれば話は別です。 そのあたりからの実体験が詳しく書かれている個人のホームページとしては 「ようこのパリ留学日記」 「anneyの留学日記」などがあります。

さて本題に入りましょう。

まずは経済的な問題に関して。
  • 経費を安く上げたいなら自分で手配すべし。引率者つきの研修旅行は避けるべし

そんなこと言われなくたってわかるって? まあまあ、怒らないでもうちょっとお付き合いください。

そもそも、いったい何をもって「語学研修に成功した」と言えるのか? 「とりあえず滞在を楽しめた」というだけでも「成功した」部類に入るのかもしれませんが、ここでは真面目に「語学が上達した」という意味に限定します。

語学研修成功の3か条はこれです。

  • 日本にいるうちにその言語を勉強しておくべし
  • 研修地としてはできるだけ人口の少ない町を選ぶべし
  • なるべく8月は避けるべし

なあんだ、やっぱり大したことないや、とお思いになりましたか? 一応、説明を加えさせてください。

引率者つき語学研修旅行は高いか

これは難しい問題です。

客観的にみて明らかに経費はかかりますが、 そういう旅行でないと親に許してもらえないということもあります。 特に若い女の子の場合は、心配性の親に 「金なら出すから」と言われてしまうことが少なくないようです。 お金を出してくれると言うのを断るのもなんですしね。

「頼むからそんなムダ金を遣わないでくれ、私は絶対大丈夫なんだから」と思っている人(20年前の私もそうだった)はじっくり親と話し合って結論を出すしかありませんね。

ただ、引率者だって一日中一緒にいてくれるわけではありません。 スリを追い払ってくれるわけでもありません。(スリの被害に遭ったら警察に連絡してくれますが、きっと何も返ってこないでしょう。)結局、自分のことは自分で責任を持たなくてはならないのです。

ところで最近の傾向として、日本のシルバー世代の人たちが語学講座に参加することが珍しくなくなってきました。 たった一人で異文化に飛びこむのは、なかなかスリリングな体験ではありますが、年齢を重ねるにつれて困難さが増すでしょうし、プライドの高さが邪魔になることも考えられます。

そんなときは、多少経費が高くついても、引率者(たいていは中年過ぎの大学教員)にいろいろ相談できるような環境の方がいいかもしれません。

引率者つきフランス語研修旅行を企画している団体としては 「APEF(フランス語教育振興協会)」があります。

シルバー世代の諸兄へ

前項のように、めでたく定年退職を迎えてから、若いときからの夢であった留学を果たす、という人を最近ちょくちょく見かけます。体験記も出版されているので触発されるのでしょう。

「自分もやってみよう」とお考えの皆様、特に男性のかたに、 老婆心(私の方が若いのに! 日本語って面白いですね。)ながらアドバイスさせてください。


貴兄は身の回りのことをご自分でなさっていますか?
旅行に行くとき、何を持っていくか、ご自分で考え、
ご自分で荷作りしていらっしゃいますか?
まさか奥様任せでは・・・?

若いうちは「何かを初めてする」ということがすべて喜びにつながります。 普段は親に甘え放題の人も、海外での初めての「一人暮し」となれば、 毎日ソックスやパンツを洗って自分の部屋の窓に干すことぐらい鼻唄まじりで できるでしょう。でも年をとるにつれて、人間は適応力を失っていきます。 慣れないことをするのが苦痛に感じられることが多くなってくるのです。

もちろん個人差はあります。 年配の男性であっても、こういうことを気軽に楽しげにできる 人もいます。さて、あなたはいかがでしょうか?

 

[2002/4/28追加]
シルバー世代の留学体験記としては、 「僕の留学日記」が参考になりそうです。

日本で勉強していくということ

これも当然過ぎることですよね。

「外国で生活すれば言葉はすぐ覚える」というのは子供の場合で、いい年をした大人はただそこで暮らしていてもたいして上達しません。

ましてや語学講座には日本人がたくさんいます。 言葉が喋れない、だから日本人同志でつるむ、結果的にまったく上達しない、という悪いパターンに陥るのを防ぐには、日本にいるうちからシコシコ勉強しておくしかありません。

こんなことがありました。

ザルツブルクでのドイツ語研修のときのことです。1番初歩のクラスでは、半分が日本人、残りの半分がイタリア人でした。口から先に生まれたようなイタリア人学生と、文法はわかっても喋らない(喋れない)日本人学生を 目の前にした先生の苦労は並大抵のものではなかったそうで、 はっきり言って授業にならなかったとききました。

また、ローテンブルクでいつもつるんでいたグループの中にスペイン人弁護士がいました。この人はすごいインテリで英語もフランス語もぺらぺらでしたが、ドイツ語はこのときが初めてだったので、1番下のクラスにいました。(ちなみに、私は下から2番目のクラスでした。) その彼があるときぽつりとこう言ったのです。

何もドイツ語がわからないのに、ドイツ語の文法用語を使って説明されてもどうしようもない。時間と労力をものすごく無駄にしている。ここに来る前に基礎を勉強してくるべきだった。

語学のセンスに満ち溢れた彼でさえそうなんだ、と思ったことを今もよく覚えています。

この二つの経験から言えることはこれです。

せめて1番下のクラスにだけはならないですむように勉強していこう!

日本のどこで勉強するか

ここで日本国内の語学学校をいくつか紹介します。(英語学校はあまりにも多いので省きます。)

まずは政府の公的機関から。

これらの機関は情報収集のためには便利な存在ですが、語学や会話を「楽しみながら学びたい」という人ににとっては物足りないかもしれません。一言で言うと「お役所的」だからです。(特に東京ゲーテは評判悪し。ドイツ現地のゲーテはそうではありませんが。)ただし、大学院レベルの講座まであると言う点においては日仏やゲーテは他の追随を許しません。

「とりあえず会話に慣れたい」という人は、一般の語学学校で問題ないと思います。ただし学校によってずいぶん雰囲気が違いますから、良く探して自分と肌合いの合うところに行きましょう。

私の限られた経験からですが、たくさんの言語を教えている学校(総合語学学校?)よりも、ひとつの言語を専門に教えているところの方が良いようです。授業内容もさることながら、来ている生徒同志でも中身の濃い情報交換ができます。

今は家庭で一人で勉強できるような教材がたくさん出ています。意志さえ強け れば、NHKのラジオやテレビ講座だけでも、かなりの力がつくはずです。(まあ、たぶん...ね。私にはできないけれど。)語学学校の存在理由の一つは、そこに行けば友達できてお互いに励ましあったり、 情報交換しあったりすることができることではないでしょうか。そういう意味で個人レッスンはあまり薦めません。よんどころない理由(あと3ヶ月後に海外赴任することが決まっているとか)でお尻に火がついている場合は別ですが。

  • エンデルレ書店ドイツ語教室(新宿区四谷1−5 tel: 03-3352-2481)
  • ドイツ語学院ハイデルベルク(渋谷区代々木1−59−1 オーハシビル tel: 03-3374-4863)
  • 日伊学院

これらは公的機関にない温かさがあります。

「エンデルレ」は本当に小さくて寺子屋みたいな雰囲気。夜間のクラスは、仕事関係でドイツ語を勉強しなければならなくなった( 「この歳になってドイツ語なんて、は〜参ったぜ・・・」みたいな)感じの人が多くて、ちょっと暗めでしたが、昼間のクラスはとても楽しかった。

「ハイデルベルク」は驚くほどフレンドリーなところです。ドイツ語に対する熱意がさめてしまっても、 教室の雰囲気につられてついつい続けてしまうというすごい学校。

「日伊学院」は「渋谷外語学院」という総合語学学校に同居しているので、上記2校に比べればクールな感じ。でもイタリア語を教える民間の語学学校の中ではたぶん内容的に最も充実していますし、生徒の側からの注文にもかなり良心的に対応してくれました。

日本人はどこにでもいる

「せっかく外国に来たのに日本人がいる」・・・こういう状況はなるべく避けたいと思うのが人情です。前に挙げたザルツブルクの例など、最悪といえるでしょう。

それでもあえて断言します。日本人はどこにでもいます。それが現実です。アイルランドのゲール語の講座にでも行けばいないかもしれませんが・・・

でも日本人がいるのはそうそう悪いことばかりでもありません。 何かのときには頼りになります。(コンタクトレンズがずれて困っていたとき、鏡を持っていて貸してくれたのは日本人の女の子でした! あ、これはちょっと話が違うか・・・

クラスの1割から2割くらい日本人がいるのは、もうしかたがないことと割り切った方がいいと思います。 第一自分だって日本人なのだから、人のことは言えません。お互いに避けあうのも不自然です。顔を合わせたら挨拶をかわすくらい、人間として当然のこと。 要は日本人だけでつるまなければいいのです。それには早めに日本人でない友達をつくることです。

比較的日本人が少ないのは、

  • 日本で知られていない土地であり
  • 引率者付き研修旅行が行かないところ

だと思います。

フランスではAPEFの引率者付きグループが行かないところ。(APEFと提携していても、引率者が付かないところだと、それほど日本人は多くない。)あと、ヴィシーというところは講座内容は定評がありますが、日本人がものすごく多い。

日本の語学学校が手配しないところをさがすという手もあります。

私がローテンブルクに行ったのはエンデルレ書店と提携していたからです。そのとき、エンデルレがドイツ全土のゲーテにルートを持っているわけではないことを知りました。

ですから、ドイツ文化会館でゲーテのリストを手に入れて、NHKのテキストに広告を出している大手の語学学校に、どこのゲーテと提携しているか、 問い合わせてみたらどうでしょう。 そうやって消していって残ったところが、日本人の少ない「穴場」だということになります。

ただし、もしかしたら今の状況は変わっているかもしれません。今や、すべてのゲーテが日本の語学学校とつながっている、という可能性はあります。

小都市のすすめ

本格的な留学なら大都市も悪くありません。1年暮すなら、パリなんか最高でしょうね。

しかし、ここで問題にしているのは1ヶ月以内の語学研修です。大都市というものは 1ヶ月やそこらでは飼いならせるものではありません。「自分の庭」にしようと思っていても、逆に自分のほうが翻弄されるだけです。

わかりにくい言い方をしてごめんなさい。

まず第一に大都市は誘惑が多すぎて勉強に適さないのです。私のフランス語の恩師など、 「フランス語を勉強したいならパリはやめろ」と公言してはばかりませんでした。

でも私が田舎を薦める本当の理由は別のところにあるのです。

小さい町なら通学時間もかからないから身体が楽です。特に日ごろラッシュにもまれて通勤・通学している人にとっては、これだけでも夢のような生活であるはずです。疲れているときは即、家に帰って昼寝できます。昼寝から覚めて今度は退屈を感じたら、町の広場のあたりをぶらついてみましょう。ほら、あなたと同じようにぶらぶらしているクラスメートがいますよ。一緒にお茶でもしたらいかがですか?

このように、人と人との距離が近くて孤独にならないですむということが、田舎の大きなメリットだと思います。

何月に行くべきか

一番行きやすいのはもちろん8月でしょう。私自身5回とも8月に行っています。

これは世界中の人にとっても言えることで、8月になると語学講座は膨れ上がります。世界の老若男女がいっとき教室をともにする、という一種お祭り的な雰囲気が横溢しているのは確かです。しかし勉強する環境としては8月はあまり良くないのです。

グルノーブルでは7月から継続受講しているというタイ人と知り合いましたが、「7月の方が良かった。いい先生の多くが8月になったらバカンスに行ってしまった」と嘆いていました。

また、ローテンブルクでは8月後半に2週間コースが新たに加わり、ただでさえ高かった人口密度がさらに高くなってしまいました。「限界を越えている」と感じたものです。その上、私たちのクラスを担当していた先生がそちらのコースの担当にかわってしまいました。なまじその先生がとても授業のうまい人だったので、私たち生徒は新しく来た先生に失望しました。授業に関してあの後半2週間はあまり実りのないものでした。

もともと夏というのは遊ぶとき。勉強する季節ではありません。できれば避けたほうがいいでしょう。夏しか行けないならせめて 7月か9月にした方がいいと思います。


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