えせバックパッカーの旅日記|
朝食後、B&Bをチェックアウト。今日はダブリンを発ってゴールウェイに行くつもり。相変わらずの雨だが、小雨だし、今日はTシャツの上にしっかりセーターを重ねているので寒くない。中央バスターミナルで「8日間のうちの3日だけアイルランド中のバスが乗り放題になるチケット」を購入する。
途中のアスローンという町で休憩。 ここはどうしようもない田舎という感じ。何か温かいものを飲みたかったのだが、売店に売っているのは冷たい飲み物ばかりだった。
時間はまだ2時半。この時間なら宿探しも楽勝だろうと思ってインフォメに行くと、2階の宿泊予約カウンターの前はごった返していた。ようやく順番がまわってきたので、私はダブリンのときと同じように切り出した。
「バスに乗らなくてはならないような、町はずれでもいいんです」 「そういうところも、全部ふさがっています。残っているのはこの町から10マイルか15マイル離れたところだけです」 またまたショック!! 交通不便なこの田舎で、10マイル離れていたら、車が無い私は身動きが取れなくなってしまう。 「ユースならなんとかなりますが」 私が好きなのは、B&Bであってユースではない。でも、他に選択肢が無いのなら、我慢するしかない。 「それではユースに1泊します。そして、明日はアラン諸島に行きたいので、島のB&Bを探していただけますか?」 「ゴールウェイよりは可能性がありますね。オーケー、あたってみましょう」
彼女はコンピューター画面を見ながら、次々と島のB&Bに電話していく。島もけっこう混んでいるようだ。ようやく、あるB&Bに部屋が見つかった。
ゴールウェイのユースの予約の方は簡単に終わった。
「この道はこの先、こんなふうになっています。ここに信号があって・・・このへんです」 と言いながら、地図の余白に道順を書き込んでくれた。なんともあやふやな地図で、心もとないことこの上ない。 歩き出してみたものの、悪い予感は的中した。 もともと地図に描いてあったところまでは確実にたどりついたのだが、その後の、男性係員が書き足してくれたところからは、もういけない。わけがわからない。雨は相変わらず降り続けている。霧のような雨粒が風に飛ばされ、顔に直接吹き付けてくる。S社の製品に「肌水」というスプレー式の化粧水があるが、まさにあれである。 アイルランドでは肌水はいらない。天然の肌水がこんなにあるんだもの。でも、こんなことをのんきに考えている場合ではない。私は道に迷ってしまったのだ。通りすがりの人に道を訊いても、どうも「インターナショナル・ユース・ホステル」はあまり有名でないらしく、どうもはっきりしない。
と、そこに買い物帰りとおぼしき中年女性がやってきた。
受付の女性にインフォメでもらった予約書を見せると、宿泊台帳に必要事項を記入するようにと言われた。ゴアテックスのジャケットから水がしたたり落ち、台帳はぐしょぐしょになった。部屋番号とベッド番号の書かれた紙切れを頼りに部屋にたどり着くと、そこはあきれかえるほど広大な部屋だった。設備そのものはかなり老朽化しているが、広い空間にぽつんぽつんとベッドが置かれていて、ドミトリーといえども、個人の領域がしっかり確保されている感じだ。こういうユースならゆっくりくつろげていいな。トイレとシャワーが部屋に直結しているため、トイレに行くのに一度廊下に出る必要がないのも嬉しいし、なおかつ、トイレの個室の数が多いのも、大いに気に入った。 ゴアテックスのジャケットのお陰で、上半身は濡れずに済んだが、ズボンの方はびしょぬれになっていた。早速履き替え、濡れたズボンを部屋の中に干す。部屋が広いと、「どこに干そうか?」と頭を悩ませる必要がないのがありがたい。 いよいよゴアテックスのズボンの出番である。
今度は道に迷わなかった。それでも、駅にたどり着いたときには、ユースを出てから30分以上たっていた。 肌水のような雨は、相変わらず顔に吹き付けてくる。その中を、観光客たちがぞろぞろ歩き回っている。ここゴールウェイの町は、ダブリンとは比べものにならないくらい美しい。それが人々の心を浮き立たせるのだろうか。それとも、競馬の大会で盛り上がっているせいなのだろうか。みんな「雨なんか屁の河童さ!」という顔をして、歩き回っているのだ。かくいう私も、負けずにうろうろ歩き回った。ほとんどの人が防水ジャケットを着込んでいるが、ズボンまで防水のもので固めている人は、そうそういない。「勝った」と思った。 駅のそばのショッピングアーケードに入ると、ぬくもった空気が身体を包んだ。日本の梅雨時だったら、蒸し暑さにげんなりするところだが、このときばかりは、その湿り気を含んだ暖かさが嬉しかった。 夕食は安レストランで、キエフ風チキンのグリンピース・にんじん・ポテト添えをとる。これだけで十分満腹したのに、さらに欲張ってシェリー・トライフルとコーヒーをとる。再び雨の中を30分歩いてユースに帰った。 |