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えせバックパッカーの旅日記
ネパールの二つの町(1)

カトマンズ

カトマンズの雑踏

「カラオケ好きですか?」
こう問いかけてきたのは、カトマンズのゲストハウスの客引きの青年ネトラである。

その前日、ヒマラヤ見物を終えて、ツーリストバスでカトマンズに帰ってきた私は、「見るだけでいいから」という彼に連れられて、1泊200ルピー(97年当時約400円)のゲストハウスに行った。そして「なるほど」と納得して、そこを宿に定めたのである。

カトマンズの洗濯場

私たちはカトマンズの中でも「外国人観光客特別仕様」とでも言うべき、「タメル」という地域の路地を歩いていた。ここには観光客相手のあらゆるグレードのホテル、旅行会社、レストラン、土産物屋、インターネットカフェが軒を連ねており、そして、多くの人はネトラのように日本語を話す。あまり外国に来ているという実感が湧かないところである。

私はその日、カトマンズの喧噪を逃れて、バクタプルという町に足を伸ばすつもりだった。すると、それを知ったネトラが 「私、今日、バクタプルの近くの自分の家に帰ります。バクタプルに連れて行ってあげます」 と言い出した。 ちょっと戸惑った私だったが、彼の熱心さに負けて、一緒に行くことにしたのである。

カトマンズの肉屋

「日本人、カラオケ好きですね」
「私は日本人だけれど、カラオケそんなに好きじゃありません」
こんな歯車の合わない会話を続けているうちに、私たちは大通りに出た。

カンティ・パトという名前のこの通りは、カトマンズの中央を南北に貫く、まさに目抜き通りなのだが、私の大嫌いな通りだった。この通りの両側には、目を楽しませるようなものはほとんど無い。 そして、日本だったら、間違いなく廃車にされてしまうような車が、轟音とともに黒い排気ガスをまき散らしながら走っている。 この嫌な通りを延々と行った先に、バスターミナルがある。

そこには何十台というバスが、何の秩序も無く、ただ溜まっていた。その中をネトラは運転手に尋ねながら、すいすいと歩き回り、ついにバクタプル行きのバスを見つけ出した。

カトマンズの学校

彼のあとについて乗り込んだバスの内部は、覚悟はしていたものの、一瞬息を呑むほどものすごいオンボロだった。しかし、バスというものは、走りさえすればいいのである。

男性の車掌の元気のいい声(「バクタプル行きだよ!」と言っているのだろう、たぶん。)に支えられて、オンボロバスは元気良く走り出した。少し立ってから、車掌はバス料金5ルピーを集めに来た。彼はなかなか精悍な顔つきをしている。そう言えば、この国ではあまり外で働く女性を見かけないなあと思う。レストランに入っても、ウェイターばかりで、ウェイトレスがいない。

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