[HOME]

えせバックパッカーの旅日記
冬の南仏プロヴァンス(13)

12月29日午後、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニヨン

ヴィルヌーヴ 祝福の谷の修道院から
サンタンドレ要塞を望む
ヴィルヌーヴ行きのバスは城門の脇のバス停から出るのだが、私は反対方向のインフォメに向かった。 インフォメでもらったアヴィニヨンの地図に「ヴィルヌーヴへのバスの切符はインフォメで売っている」とあったからだ。
なのにインフォメでは「バスで買え」と言われた。
書いてあったからわざわざ来たのに。よけいなこと書かないでよ(怒)

バスは駅前の城門を出て、城壁沿いに走り、ローヌ川に向かった。次の小さな城門の正面には、フランスの代表的ホテルチェーンのEtapとibisが並んでいた。Etapには「1泊39ユーロ」という表示がでかでかと出ていた。これは安い。Etapは(とても清潔だけど)無機質過ぎるから、特にお薦めはしないけれど、ユースの次のレベルの宿としては使えるホテルである。ご参考まで。

ヴィルヌーヴ ブロカントにて。「眠れる森の美女」を
連想してしまうのは私だけ?
「オフィス・ド・トゥーリズム」という停留所でバスを降りるとそこは広場になっていて、ブロカント(古道具市)が開催されていた。こういうものは見始めるときりがないので、後ろ髪を引かれながらも歩き出す。

目的地の「祝福の谷の修道院」には10分足らずで到着した。 今や廃墟と化しているこの修道院だが、歴史が感じられてなかなか面白かった。教皇イノケンティウス6世の墓など、まさに「つわものどもが夢の跡」という感じ。

ヴィルヌーヴ えっちらおっちら登る
修道院の裏手を廻り、丘の上にそびえるサンタンドレ要塞に向かう。汗をかきかき坂をえっちらおっちら登ると車が数台停まっていた。
車だと楽なのよねえ・・・(羨)
要塞の中を順路に従って歩き、城壁の上からの眺めを楽しむ。この要塞には2つの塔があり、英語では「ツイン・タワー」という。どこかで聞いたことがあるような。ここからのアヴィニヨンの眺めを楽しみにしていたのだが、もやがかかっていて、期待していたほどではなかった。残念。

ヴィルヌーヴ はるかかなたにヴァントゥー山が
うっすら見える
要塞を後に、坂道をのんびりと下る。この「Montee de Fort(要塞坂)」の両側には丘にへばりつくように住宅が並び、なかなか風情がある。路地裏マニア推奨の道。

ピエール・ド・リュクサンブール美術館を見学した後は、「フィリップ美男王の塔」に行くつもりだったのだが、 ふと思いついて「ノートルダム参事会教会」に入ってみた。プロバンスにこの季節に来て、教会に入らない手はない。きっとクリスマスのジオラマがあるはず。

期待は裏切られなかった。
いや、期待以上だった。
非常に力の入ったジオラマがあったのだ。
そばにおばさんがいて、しきりにスプレーで水をかけていた。感嘆して見入っているうちに、彼女と言葉を交わすことになった。彼女はこのジオラマの作者で、たった1人で2週間かけて作り上げたのだそうだ。
「こういう装飾はすべて自然のもの・・・私がローヌ川の岸辺で拾い集めた流木なんですよ。乾燥するとだめになってしまうから、こうしてしょっちゅう水をかけているんです」
彼女がここにいるのは、水をかけるためだけではなかった。
「いつも見張っていないと、盗まれてしまうんですよ」
彼女はため息混じりにこう言った。
ジオラマを見ていた女性が 「いやな世の中ですねえ」と言う。
ジオラマにカメラを向けると、おばさんは「ちょっと待って」と言い、照明をつけてくれた。

ヴィルヌーヴ ヴィルヌーヴの町を歩いていたら窓が音もなく開き
犬が出てきて座った。彼(女)の定位置?!
いやな世の中で出会った、魅力的な人だった。

しかし、教会でのんびりしすぎた。 外に出てみると、すでにかなり日がかげっていた。 住宅地の中を少し歩いてはみたものの、「フィリップ美男王の塔」に行っても、たとえぎりぎり登る時間はあったとしても、眺望を楽しむことはできないだろう。

私はUターンした。

でもそのあたりの住宅地もなかなか高級感があり、 ちょっと歩いただけでも楽しかった。 アヴィニヨンに来ても、ヴィルヌーヴはカットしてしまう人が多いだろう。でも、この町はいい。 日がもっと長ければ、もっと長居をしたかった。

夕方のアヴィニヨン

アヴィニヨン 夕方のアヴィニヨン
5時ちょっと前のバスに乗って アヴィニヨンに戻り、 本屋をひやかした後、まだ歩いていなかったラスパイユ通りを歩いてみたら、flunchがあった。これはフランス系ファーストフードのチェーン店だが、軽食ばかりでなく、しっかりとした料理も食べられる。レベル的には大学の学食みたいな感じ。 アヴィニヨンに来てからは毎日テイクアウトの夕食が続き、明日はいよいよマクドナルドになるかと覚悟しかけていたのだが、これで一安心だ。

今日の夕食は朝、市場で買ったえびとブロッコリーの残りとキッシュ。気休めにヒーターの上に乗せておいたキッシュは大して温かくならなかったが美味しかった。でも熱々のほうがもっとずっと美味しいにきまっている。

12月29日午前へ戻る12月30日へ

HOME > えせBPの旅日記TOP > プロヴァンスTOP(目次) > ヴィルヌーヴ

HOME