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えせバックパッカーの旅日記
冬の南仏プロヴァンス(14)

12月30日、リル・スュル・ラ・ソルグ

リル・スュル・ラ・ソルグ リル・スュル・ラ・ソルグ
今日は日曜日、リル・スュル・ラ・ソルグでアンティーク市が立つ日である。どうせならリルの先の、フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズまで足を伸ばしたいところなのだが、バスの便がいまひとつ。夏なら何の問題も無いのだが、4時過ぎには薄暗くなり始めるこの季節に行っても、気がせくだけであまり楽しめないだろう。第一、フォンテーヌは「泉」、つまり水がメインの観光地なので、暑い時期に訪れてこそ。無理して行くことはあるまいという結論に達した。

9時30分発のバスに乗ったら、乗客が10人ぐらいいた。こんなに混んでるバスは初めてだ。真夏だったらどんなに混むことだろう。

リル・スュル・ラ・ソルグ この水車がリル・スュル・ラ・ソルグの目印
今日は北風が冷たい。それもハンパじゃない強さ。日本だったら「木枯らし」と呼ばれるところだが、ここは南仏プロバンス。そう、これがプロバンス名物、「ミストラル」なのだ。

リルのバス停は運河沿い。降りると水車があり、お目当てのアンティーク市が立っていた。それを横目に見ながら橋を渡ると、露店がずらり。こちら側は普通の市で、買い出しの人々でごった返している。 町の真ん中の教会に入ってみると、合唱隊がミサの練習中だった。その歌声をBGMに、ジオラマを見物し、ミサが始まると同時に外に出る。露店をひやかして廻り、買ったのはマルセイユ石けん2個。1つはローリエ、もう1つはラベンダーの花入り。

リル・スュル・ラ・ソルグ 真冬でも色鮮やかな花がいっぱい リル・スュル・ラ・ソルグ トリュッフを量り売りしている

リル・スュル・ラ・ソルグ こんなもの誰が買うんだ
リル・スュル・ラ・ソルグ これも誰が買うんだ
さきほどの橋を再び渡り、アンティーク市に戻る。やっぱりこちらのほうが普通の市よりも段違いに面白い。買えるものは無いのだけれど。

お腹が空いてきたので、レストランの外にあるメニューを見て廻ってみたのだが、どうもアヴィニヨンに比べて割高だ。どこもひどく混んでいるし、わざわざこの町でお昼ご飯にすることはないだろう。でも、ミストラルに吹かれた身体は温かいものを欲していた。トイレにも行きたい。

運河沿いの小さなカフェに入り、ココアをとった。 店内と外のテラスを行き来するウェートレスはヘソ出しファッションだった。
ううう、見ているだけでも腰が冷えて痛くなってきそうだ。

1時を廻ると、市は撤収作業に入っていた。撤収というのは寂しいものだが、ミストラルの吹きすさぶ中での撤収はまるで追い立てられるかのようで、「世の無常」みたいなものすら感じてしまった。

アヴィニヨン最後の夜

2時過ぎにアヴィニヨンに戻り、昨日下見してあったflunchで遅い昼食。ビフテキ、付け合わせに人参といんげん、グラスワインも取って9.6ユーロ。ワインは水のように味気なかったが、酔いの廻り方だけはまともなワイン以上だった。

明日は休館してしまうランベール現代美術コレクションを見てから、ぶらぶらとクリスマス市へ。デザート代わりに砂糖まぶしのクレープを立ち食い。
おいっしい!

アヴィニヨン アヴィニヨンのクリスマス市
今日はアヴィニヨン最後の夜なのだから、早々とホテルに帰ってしまうのはもったいない。 でも、アヴィニヨンのナイトライフって何がある?  そうだ、映画だ、「ライラの冒険」を観よう。

市庁舎の目の前という、立地は最高のその映画館は、ごくささやか (渋谷の裏通りあたりによくある、渋めの映画をやってる映画館程度の大きさ)だったが、椅子のかけ心地が感動的に良く、座席の傾斜が適切で前の人の頭が邪魔にならない。これが文化というものだ。 5時40分からの回をフランス人の親子連れと一緒に観て、ニコール・キッドマンの板に付いた悪女ぶりを堪能した後、遠回りしてライトアップされた教皇庁を見物し、 軽い夕食として ベトナム料理店でフォーを食べた。フォーは8ユーロぐらいした。けっこう高い。

夜、部屋でテレビを点けっぱなしにして本を読んでいたら、耳なじみのある音楽が流れてきた。「ロード・オブ・ザ・リング」だ。ここ数年、年末にフランスに来ると、きまってこの映画を放映しているような気がする。

窓を閉め切っていても、時折り風がよぎるのが感じられる。
おそるべし、ミストラル。

アヴィニヨン 夜のクリスマス市

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