「フランス語版指輪物語」のトップへ戻る
ホビットたち | 他の種族 | 品物 | 地名 | 文体について |抽象名詞



抽象名詞
抽象名詞ってのもなんだかねえ。。でも、他に言いようがないので。
死だ!  エントの寄合

原作 瀬田訳 仏語訳(発音) オババのコメント
"Death!" 「死だ!」

ただし、 映画の日本語吹き替え版では
「死のう!」

"La mort!"
(ラ・モール!)

ただし、 映画のフランス語吹き替え版では
"A mort!"
(ア・モール!)

この台詞は、原作と映画とでは、全く違う文脈で出てきます。 だから、日本語吹き替え版で違う表現にしたことは十分に納得できます。「死のう」が最良の訳かどうかは別として。
この点に関しては
グワイヒアさんのサイトこのコーナーの"Deeeath!"の項をお読みください。

"la mort"はまさに"death"。「死」という抽象名詞です。"la"は定冠詞。
"A mort"の"a"には、正式にはアクサングラーブ(左上がりのアクセント記号)が付きます。これは英語の"at"や"to"、場合によっては"in"の意味で使われる前置詞です。だから、そういう前置詞を付けることによって、単なる「死」ではなく「死へ」というニュアンスがそこはかとなく醸し出されて、「死のう」の意味に近くなるのかな、と思いたくなります。
でも実は、そんなに単純ではないのです。

無冠詞の"mort"の前に"a"をつけた表現は、けっこうたくさんあります。
例えば、
"s'ennuyer a mort"=死ぬほど退屈する

"combat a mort"=死闘
これらの場合、"a mort"は「死ぬほど」という意味です。「死闘」というのは「死ぬほどの戦い」ということだから。

"a mort"を用いた表現には、別のタイプもあります。
例えば、
"mettre...a mort"=〜を殺す、〜にとどめを刺す
"condamner...a mort"=〜に死刑の宣告をする
映画の流れからすると、"a mort"の意味はこちらではないでしょうか。つまり、「(自分が)死へ(向かう)」よりもむしろ、「(相手に)死を(与える)」のニュアンスが強いのではないかと、オババには思えるのです。

「デーーース!」よりも「ア・モーーール!」のほうが言いやすいですよね。声も出しやすい。オババの周りの、フランス語をやったことのない指輪ファンたちも同意見でした。英語よりフランス語訳のほうが評判が良いという珍しい例です(^^;

Entmoot エントの寄合 La Chambre des Ents(ラ・シャーンブル・デゼント)

こんなにつまらない訳だったとは・・・(絶句)
"chambre"は英語の"chamber"のもとになっている語だから、フランス語を知らない人にはかっこよく感じられるかもしれません。 でも、現代フランス語の"chambre"の第一の意味は「部屋・寝室」。フランス語を学ぶときに真っ先に習う日常卑近な単語なので、かなりがっくりです。
もちろん「議場」の意味もあるんですけどね。


HOME > 療病院の中庭TOP > フランス語版指輪物語TOP
> ホビット | その他の種族 | 品物 | 地名 | 文体について | 抽象名詞