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品物
いとしいしと   つらぬき丸   玻璃瓶   レンバスの薄焼き菓子 グロンド

原作 瀬田訳 仏語訳(発音) オババのコメント
my precious いとしいしと mon tresor
(モン・トレゾール)
"tresor" の"e"の上にはアクサンテギュ(右上がりのアクセント記号) が付きます。意味は ご想像どおり、「私の宝」。
しかし、なぜ"precious"に対応する"precieux"を使わなかったんだろう・・・? 「プレスュー」という発音も、ゴクリには合っているような気がするんだけど 。。。
というわけで、フランス人に訊きました。 「英語における"ss..."という音には、爬虫類のイメージが有るそうなのだが、 フランス語ではどうなのか?」と。
答えは「フランス語においても、"ss..."の音には爬虫類が舌をちょろちょろ出している イメージが有る。 "pss..."のほうがさらにぴったりくるかも。 『トレゾール』という音からはそういうイメージは浮かばない。」
「じゃあ、『モン・プレスュー』はどう?」と訊いたのですが、あまりピンと こない様子。
で、 私が思いついた代案は"mon pssit"(モン・プスイー)。 "mon petit"(モン・プティ)という呼びかけの表現にヒントを得ました。 "petit"=「小さい」だから、指輪にはぴったり。 ただ、自ら意思を持ち、 所持者を操る「1つの指輪」には似合わないかも?
ちなみに、PJの映画では「モン・プレスュー」となっています。
Sting つらぬき丸 Dard(ダール) "Sting"という単語は「山椒は小粒でも・・・」という感じがして、 いかにもホビットが持つのにふさわしい剣の名前だと思いません?
フランスで「二つの塔」を観たとき、 フロドがゴラムに「これに見覚えがあるだろう。 スティングだ」と言う台詞が、やたらまったりとした語感だったので、確認してみました。 "dard"は「投げ槍、もり、(蜂・サソリなどの)針」。 だからまさに英語の"sting"に相当するのですが、 「ダール」じゃあねえ・・・。 こういう単語は、音に鋭さのあるゲルマン系の言語のほうが合っているのではないかしら。
ついでながら、瀬田訳の「つらぬき丸」も、 オババにはあまりぴんとこないんです。瀬田訳は好きなんですけどね・・・。
the phial of Galadriel/the Lady's glass ガラドリエルの玻璃瓶/奥方の玻璃瓶 la fiole de Galadriel(ラ・フィオール・ドゥ・ガラドリエル)/le verre de la Dame(ル・ヴェール・ドゥ・ラ・ダム) "phial"も"fiole"も「水薬などを入れるガラスの小瓶・フラスコ」。知らなかった・・。 このコーナーやってると、実に勉強になります(^^;;
"verre"はまさに英語の"glass"で、「ガラス」「グラス」両方の意味を持ちます。
瀬田訳の 「玻璃瓶」、格調高いですね。 瀬田訳「指輪物語」で覚えた日本語はたくさんありますが、「玻璃瓶」もその一つ。 瀬田氏は日本語をほんとうに熟知しておられたんだなあとつくづく思います。 オババだったら「小瓶」としか訳せなかったことでしょう。 古めかしくしようとしても、せいぜい「びいどろ」ぐらいしか思いつきません。でも、びいどろはイメージが全然違う。。。
ちなみに、「びいどろ」はの語源はポルトガル語の"vidro"だそうな。 フランス語には"vitre"(ヴィートル=窓ガラス) という単語があります。 よく似てるでしょ。ラテン系の言葉同士だから。
a wafer of lembas レンバスの薄焼き菓子一枚 une gaufrette de lembas(ユヌ・ゴーフレット・ドゥ・ランバス)

フランス語吹替版では確か「ランバス」と言っていたはずです。

"wafer"というのは「ウェハース」のこと。知らなかった(汗)
"gaufrette"を辞書で引くと「ウェハース」とあります。これは"gaufre"という単語に「小さい」という意味の接尾辞"et"の女性形"ette"が付いたもの。"gaufre"はご存知「ゴーフル」のこと。 ってことは、ウェハースが大きくなったらゴーフルになる。なるほど。
"wafer"も"gaufette"も 単位として用いられているんですね。 "a piece of"の "piece"みたいに。
"une gaufrette de"という表現は、たぶん相当珍しいのではないかと思います。 少なくともオババは聞いたことがありません。 "a wafer of"のほうはどうなのかと思って、イギリス人に 「"a wafer of something"という表現は 普通なのか?」と 訊いたところ、「聞いたことがない」と言いながら、 わざわざ辞書を調べて、「"a thin slice of"の意味で、"a wafer of silicon"というのがある」と教えてくれました。 曰く、 「ふーん、シリコンか。それはありそう。 でも、食べ物については使わないような気がする」 ・・・あらま、レンバスは食べ物なのに。

それにしても、PJのレンバスは"a thin slice of"という形ではなかったですね。 技術力を誇るWetaの弱点は食べ物作り?

ちなみに、日本語の「1枚」に相当する普通の英語は、ご存知のとおり、 前述の"a slice of (ham)"と、"a sheet of (paper)"です。 これに対応するフランス語の表現は"une tranche de (jambon)" と、"une feuille de (papier)"です。 ハムは大きな塊から薄く切り落としたものだけど 、 紙はもともと薄い、という違いがあるから、 異なる表現を使うのです。
英語はゲルマン系、フランス語はラテン系だけど、おおもとは同じ系統。 だから同じ考え方であることが多いんです。

Grond グロンド Broyeur(ブロワイユール)

"grond"は英和辞典には載っていません。確かな筋からの情報によると、エルフ語起源の単語だそうです。 一方、"broyeur"のほうは仏和にちゃんと載っていて、「(鉱石などの)粉砕工」という意味。
PJの「王の帰還」のSEE(特別版)では、 オークたちが拳を振り上げながら「グロンド! グロンド!」と連呼し、ペレンノール野がライブ会場と化しますが、 もしも指輪物語がフランス語で書かれていたら(←ありえない仮定だ!)、 「ブロワイユール! ブロワイユール!」と叫ばなければならなかったことになります。ノリの悪いこと甚だしい。 なので、もしも指輪物語がフランス語で書かれていたら(←だから、ぜったいありえないってば)、 いくらPJでも、あの演出は思いつかなかっただろう、というのがオババの結論です (自爆)


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