"RotK" in UK and France
          ・・・・「王の帰還」ネタバレレビュー



          2004年1月、はいねさんの「LotR spoiler news」のために 書かせていただいたレビューです。バックアップとしてここに置くことにしました。
          タイトル通り、多少のネタバレを含みます。
          銀の匙さんがお書きになったネタバレレビューはこちらです。




          パリではフランス語字幕付きを観る予定だった。ところが、いざ始まってみると、流 れてきたのはフランス語吹き替え。聞き取りきれない分を字幕で完全に補完しようと いう計画が、ここではかなくも崩れてしまった。あちゃー、Yahoo Franceでしっかり 調べておいたつもりだったのに、見間違えたのかしらん。(ちなみに行った映画館は Gaumont Operaです。)

          それはさておき、1回目の鑑賞の感想としては・・・
          実はすでに海外で観た他の人たちから「文句をつけたらきりがないけれど、かなりい ける」という話は聞いていたのだが、私もそう思った。イメージが違うところはたく さんある。でも、そもそもが、脳内映像には曖昧模糊としたところがたくさんあるの であり、それがあるからこそ美しいのであり、それを はっきり映像化されたら、多かれ少なかれ違和感を抱くものなのではないだろうか。 おそらく脚本陣だってそうだっただはず。PJは別にして。映像的 にどうかなと思ったシーンの筆頭として、ゴラムの最期をあげたい。今まであれだけ リアルなゴラム像を作り上げてきたのに、最後になってあのマンガ チックな映像はなんなんだろう? 原作未読で単純なアメリカ人の観客にウ ケるため? また、シーロブ(シェロブ)と死者の道の映像化は妥 当なものだと思ったが、思わぬところに伏兵があった。それはパランティアである。 あれはほんとうにすごすぎです。しかもアラゴルンにさえ扱えない ときてる。映画のアラゴルンって、ほんとに普通の人間なのよねえ。死者の道も怖が るし(ため息)

          ストーリーの改変に関しては、TTTで慣れてしまったためだろうか、それほど気に ならなかった。ただ、ようやくアラゴルンが王になる自覚を持つきっかけとなること が、あまりにも卑小というか、低レベルなので、かっくんときた。をいをいそんな奴 に中つ国を任せてしまっていいのかい? それと、この話をするときのエルロンド 卿、まったく生彩が無くて、見ていて気の毒なくらいだ。彼の顔を見ているだけで 「エルフの時代は終わった」というこ とがよくわかる?!

          また、ゴラムの性格がかなりブラックになっていることに、多少のショックを受け た。TTTのゴラムが原作よりも可愛かった分を相殺するために、RotKでは悪役に傾か せたのだろうか。ちょっとやりすぎではないかと思わないでもない。映画的にはそれ なりの効果を上げているのかもしれないが。

          でも、私は原作をまだ2回しか読んでいない、シロートなのである。だから、指輪に 関する蘊蓄などあまり持ち合わせていないし、細かいところを云々するほどわかって もいないのである。そんな私が唯一、こだわりたかったのが、滅びの山のシーンだっ た。この場面だけはたぶん10回くらいは読み返していて、ここだけは、台詞も演出 も原作通りにして欲しかった。とはいえ、フロドとサムがホビット庄を懐かしむ台詞 は、原作とは違うけれど、悪くないと思った。彼らを突き動かした原動力は、「ホ ビット庄を守りたい」ということだったんだし。特に食べ物ネタに走るあたり、いか にもホビットらしいと思った。でも、そこでまたサムが女のことを持ち出すのがなあ ・・・。脚本陣には「男は女のために生きるものだ」というようなポリシーがあるん だろうか。いや、それはそれでいいんですけどね。私は女だから。でもねー。サムは まあいいけれど、アラゴルンにはもっと神話の英雄らしくいて欲しかった(というの は今に始まったことではないが)。

          しかし、なんだかんだ言って、この私をして、目頭を熱くさせた場面が2つもあっ たことは特筆に値する。(「背負ってさしあげますだ!」と、灰色港からフロドを乗 せた船が消えていくところの2場面) 私は今までの2作では、1回目から目がうる んだことがなかったのだから。

          2回目の鑑賞は5日後だった。今度はロンドンのレスタースクエアのオデオンであ る。

          映画が始まると、1回目に気になったことが、ほとんど気にならなくなっていること に気づき、我ながら驚いた。映像と音楽を十分に堪能する余裕ができたためだろう、 大自然の美しさ、セオデン王の天幕のゴージャスさに感動。ナズグルがミナス・モル グルから飛び立つ勇姿はジョン・ハウのデザインだなあとか、ミナス・ティリス攻防 戦はアラン・リーの挿絵そっくりだといった、オタクな喜びもじっくり味わえた。そ れと、1回目から心底思ったんだけれど、人はローハンに限る。負けることを予期し つつも、ゴンドールの窮地を救いにやってくるローハンの騎士たちは男の中の男だ。 そこに流れるのはTTTでおなじみになった、あの、ローハンのテーマ。胸がいっぱい になる。

          そして、男の中の男の王、セオデンが死ぬ。このシーン、原作とは微妙に違うが、と てもよくできていると思う。(もしかしたら原作よりいいかも?)私は涙を流し、 ずーずー鼻をすすった。そして、灰色港でもまた鼻をずーずー。ハンカチ持ってきて よかった。周りも鼻をすすっている。ここで泣くということは、原作を知っている証 拠。パリではこんな雰囲気は味わえなかった。わざわざロンドンまでやってきてよ かった。。。

          2回観た結果、自信を持って「NG」と言えるのは、戴冠式の後の、アラゴルンとアル ウェンのキスシーンである。アルウェンたら、あれじゃあまるきりそのへんにいるた だのアメリカのおねーちゃんじゃありませんか。あれも原作未読のパープリン なアメリカの観客の好みに合わせたのかしらん。あと、やっぱり滅びの山のシー ンは、もっと原作に忠実にあって欲しかった。「この滅びのきれつちゅうところから 離れませんか」「おまえがそう思うのならそうしよう」 そう言いながら、のろのろ 出てきて欲しかったし、2人が倒れるのを鷲の目線で見せて欲しかった。・・・言い 出せばキリが無いですね。

          RotKは長さを感じさせない作品です。SEEは、あればあったで嬉しいけれど、劇場版 でも満足できる人が多いのではないかと。そうそう、トイレタイムは無いので、十分 に体調を整えてからご覧になることをお勧めします。





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